『アプリ翻訳実践入門』を読みました。

『アプリ翻訳実践入門』を読みました。
積読本になっていた『アプリケーションをつくる英語』も合わせて読みました。

アプリの翻訳については翻訳会社にいる頃に翻訳手配やチェックも経験しているのですが、ずいぶんと昔のことですし、もっとずっとずっとアナログな感じで作業していたため、最近の状況を知りたいと思ったのです。

もう1つ理由があります。

現在私が関わっている機器で使用されるアプリを翻訳するのは、アプリの開発者であることがほとんどで、失礼ですがあまり質が良くありません。

私にやらせてくださいとアピールをしているのですが、全部は無理だと思うので、社内の技術者向けに「ここだけは押さえてもらいたい翻訳ガイド」のようなものを作って読んでもらうようお願いしてみることにしました。
そのガイドを作る際の参考にさせていただこうと思い、この本を読むことにしたのでした。

対象とする読者

『アプリケーションをつくる英語』(2012年)は、「アプリケーション開発者」を対象に書かれています。

今回読んだ『アプリ翻訳実践入門』(2018年)は、「アプリ翻訳に興味のあるエンジニアや翻訳学習者」、「翻訳経験はあるがアプリ翻訳は初めての翻訳者」、「アプリ翻訳に挑戦してみたい人」などを対象に書かれています。

翻訳の指南書は数多く存在しますが、アプリの翻訳に特化した指南書は、これまでなかったのではないでしょうか?

アプリ翻訳や工程の位置づけから始まり、翻訳工程詳細、仕事の探し方や料金計算、に至るまで、アプリ翻訳の仕事に必要な要素がかなり丁寧に説明されています。
説明が詳しすぎて、驚いてしまいました。
さらには、アプリをダウンロードして実際のアプリ翻訳を体験することもできます。(まだこの部分は試していないのですが。)

いろいろな意味で、アプリと関わりの深い翻訳をやっている方には必読の本だと思いました。

内容の詳細は読めばわかると思うので、特に印象に残ったものについて少しだけ書いてみようと思います。

構成&説明がわかりやすい

  • 基本的なことから順を追って説明されているので、アプリ翻訳の経験がない人にもわかりやすい。
  • 前半の章では、章の終わりで内容要約されているため、後からザックリ内容を見直したいときに見やすい。

その他メモ

  • 翻訳支援ツールと機械翻訳との違いや、メリット・デメリットについても丁寧に説明されていた。支援ツールと機械翻訳の区別がついていない方もいるように思うので、翻訳への最初の入り口がアプリ翻訳の人にはとてもよい説明なのではないかと思った。 また、翻訳支援ツールの説明で「コスト削減」について触れられているが、「翻訳依頼者の観点からすると」という記載があって、とてもフェアでよいと思った。
  • 正規表現の説明が載っているのがありがたかった。私は正規表現が全然わかっていないので、あらためてここはもう一度見直してちゃんと使えるようにしようと思う。
  • 翻訳の解説によく登場する「訳し上げ」「訳し下げ」ということばについても説明がされていたのが意外だった。これって説明がなくてもわかってしまうし、翻訳講座やテキストでは当たり前のように使われているが、ちゃんとした説明をあまり見たことがないような気がする・・。(そうでもない?)
  • MTPE/機械翻訳との向き合い方についても触れているが、どちらか一方に偏ることなく中立な意見でよいと思った。

一番参考になったもの

アプリの命令表現を、「人間からアプリに対する命令」と「アプリから人間への指示」に分類している記載があるのですが、今回参考になったのは、実はこの記載でした。

アプリ開発者が翻訳した英訳で気になる点はたくさんありますが、「動詞の原形」とすべきボタン名を「ing形」や「名詞形」にされているのが一番気になっていました。たとえば、「計算」というボタン(押すと計算が始まるボタン)の訳を「Calculation」とか「Calculating」としているようなケースです。(あまり統一性はなく、完全にフィーリングで書かれている感じ。)
表示場所やその内容によってはCalculationの方が良いこともあるとは思いますが、動詞とすべき箇所の記載がバラバラで適当なのがとても気になっていました。

それで、これをなぜ動詞の原形がいいのかということについて、「そういうものだから」というあいまいな説明しかできずにいたのですが、「人間からアプリに対する命令だから」とスッキリ説明ができると思って一人で手をたたいて喜んでいたのでした。

他にもまだいろいろあるのですが、長くなってきたのでこの辺で終わりにしておきます。

アプリの翻訳に興味がある方が是非読んでみることをおススメします。


そうそう、作成した『 アプリ翻訳のガイド』的な文書は、アプリ翻訳を担当する方に配布してもらえることになりました。少しは翻訳が改善されるでしょうか。

でも・・・。
しつこいけど、私にやらせてください~。

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