上位互換・下位互換・後方互換・前方互換 ~検証~

なぜ混乱状態になっているのか

1つ目の理由は、
上と下の言葉のイメージでとらえるからなのか「上位互換」を『上位』のモノに対して互換性がある、「下位互換」を『下位』のモノに対して互換性がある、という使い方をする例があるからではないかと思います。

今回私が遭遇した原稿は、このタイプです。
ソフトウェアのアップデート関係の文書だったのですが、「バックアップデータは、上位互換です。」という文でした。

旧バージョンのバックアップデータは、新バージョンアプリでそのまま読み込んで使うことができますよ、ということなのですが、目線は「(下位の機種の)バックアップデータ側から「上位の機種」に対して」見たものになりますね。

前回挙げた「上位互換」の定義を考えると、目線は「上の機種側から」。
結局は同じことを言っているのですけれど、違うのは見ている目線・・・でしょうかね。

ちなみに、私の夫(一応(?)IT業界の人)も、通常この例文同様の使い方をしていることがわかりました。

なぜかときいたら、「ソフトウェアはどんどん新しいものが出ていくから、元のデータが上のバージョンに対して互換性がある…て言い方がほとんどだからじゃない?と言われました。

確かに、私が出会った「バックアップデータは、上位互換です。」もそうでした。

「上位互換」の使い方は、人によってかなり違いますね・・。

「新バージョンのアプリは上位互換です。」という感じで使われている場合と、「旧バージョンのデータは上位互換です。」と使われている場合とこれまで両方のパターンに出会いました。

どちらも新しいバージョンでは古いバージョンもサポートしているということですが、どちら側から見ているのか、目線が違うだけで結局は同じことですよね・・。

2つめの理由は、
本来は「上位互換」に対応するのが「後方互換」、「下位互換」に対応するのが「前方互換」だと思うのですが、「前=上」と考えて、「後方互換」と「前方互換」の意味を逆の意味にとらえている例があるからではないかと思います。
実際、ITの用語解説のサイトでも、逆の説明をしているサイトがいくつもありました。
意味が分からなくて探している人が、両方の説明を見てしまったら、結局どっちなんだ?となってしまいますよね。両方見つけられず、片方(逆の方)だけを見てしまったら、間違って覚えてしまう・・。

3つめは、2つ目の理由とも共通するのですが、混乱の原因は、メーカーによるものではないかという話もありました。

実際どのサイトでどの商品のことなのかはメモを残すのを忘れてしまったし、改めて探していないので参照サイトを挙げられないのですが、「某ゲームメーカーが逆の意味で使ってしまっているから混乱したのでは?」と書いているサイトもありました。

また、Microsoftのページには、下記のような記載がありました

下位互換とは、プラットフォームの特定のバージョンで開発されたアプリが、そのプラットフォームの新しいバージョンでも実行できることを意味します。

ん?これが正しいなら、前回の記事で最初に挙げた定義自体が逆のなのか・・??と思ってしまったりもしました。

最後、4つ目の理由として、ソフトとハードをいっしょくたにして話しているから余計訳が分からなくなるのかな、とも思います。
(そういうわけで、前回の記事の定義では、<ソフト>と<ハード>で説明を分けてみました。でも、書いているうちに自分でも何が何だかわからなくなってきました。)

もう1つ、「上位互換=新製品が前のやつよりいいものである」といったような、元の意味とは全く違う使い方をしている例も見つけました。
また、全く知らなかった使い方なのですが、人に対して使用している例もあり、驚きました。「人間としてレベルが上」という意味のようで、もう、ここまでくると、何が何だかわかりません。

翻訳はどうする?

「上位互換(性がある)」、「下位互換(性がある)」、「後方互換(性がある)」、「前方互換(性がある)」にあたる英語は、それぞれupper compatibility (compatible)、lower compatibility (compatible)、 backward compatibility (compatible)、forward compatibility (compatible)ですが、翻訳の際にはそのまま用語を置き換えるのは避けたほうが良いと思いますが、場合によってはそのまま訳しておくのが良い場合もありそうです。

私は、社内文書を訳す際には、文字通りに訳した上でコメントを付けて意味で考えた英文も残すようにしているのですが、技術者の方は自分が書いた原稿通り、そのまま訳した方を選択する傾向が強いようですね、少なくとも今の職場では。

大切なのは、言いたいことが間違いなく伝わることだと思うので、状況に合わせて訳すしかないですね。

まとめ

結局のところ、よくわかりません・・。

でも、きちんとした定義が定着していなくて混乱して使われているので、使い分けたからといってで意味が通じる言葉ではなさそうです。

日本語でも訳が分からないので、英語ではなおのこと。
そのため、用語にこだわるよりも、書き手がどういう意味で使っているかを考えることが重要かなと思いました。

参考サイト

いろいろ探しすぎて全部は控えていないのですが、主な参考サイトのみ下記へ上げました。