翻訳会社に期待していない人をどう説得するか、悩む。

今私が翻訳を担当させてもらっている会社では、以前は取説の翻訳を翻訳会社に外注していました。

翻訳会社にお願いして上がってくる翻訳が思った以上に悪く、品質の低さにうんざりして社内で翻訳スタッフを常駐させることにしたそうです。そのおかげで、今、私がこの会社で翻訳を担当させてもらっているわけなのですが・・。

私の上司の、翻訳会社に対する期待度の低さといったら、それはもう悲しくなってしまうほどで、元翻訳会社の社員としては、複雑な気持ちです。

でも、この期待度の低さは、翻訳会社だけが悪いわけでもない気がするんですよね。
やり方を変えることで翻訳の質も上がるんじゃないかと思うので、そこを強く提案してみたいと思いましたが、思いはかなり強いらしく、なかなか難しそう。

まあ、この会社が翻訳会社に翻訳を出してしまったら、私の仕事は翻訳ではなくて単なるチェックになってしまうので、それはそれで困るのですけれどね。


大きな仕事が動き始め、私一人だと全部カバーしきれない状況になりました。

翻訳の見積時間を渡したところ、納期を伸ばして私が全部やるのか、納期はそのままにして半分翻訳会社に出すのかを、社内で検討することになったようです。

でも、どうやら翻訳会社には出したくない様子。

出してもどうせ変な訳しか戻ってこないから、もし出すのであれば、「上がってきた翻訳を私がチェックする」、という案も出ています。(結局時間がかかることになるわけですが・・)


これまで、いくつかの翻訳会社に依頼をしたそうですが、どの会社の翻訳も、満足できる翻訳をしてもらえることはなかったそうです。

言い分としては、こんな感じでしょうか?

  • 翻訳会社に取説の翻訳を出しても、日本語をそのまま直訳にした翻訳しか出てこない。
    (=高いお金を払っても、自分たちの望むとは程遠いものしかもらえない。)
  • 直訳以上の翻訳をしてもらおうと思ったら、それ以上にお金を払わないとやってもらえない。(=別途コンサルタント代を払えばやってくれるのだろう・・と信じている)
  • 翻訳上がりをチェックをしてみると、大量に修正が必要で、翻訳会社に戻すこともできずに社内で何とかするしかなくなった。(=翻訳を納品したら、その後は一切面倒をみてくれない、やってもらうにはお金がかかる、と信じている)

つまりは、もう、翻訳会社には期待できない。
お金をかけて外注してもいいものが出てこないなら、英語のできる技術者が何とか英語で書くことにしよう。

文書の量が増えて技術者は文書作成にあてる時間を取れなくなり、それなら社内ですぐそばにいてくれて、機械を見に行ったり、社員に直接質問したりして情報収集して正しい翻訳をしてくれそうな人を探そう。

・・ということで、派遣社員を募ることになり、私が翻訳スタッフとして採用してもらうことになりました。


これまでの経緯などを聞いていると、言い分もわからなくはないのですが、

  • 選んだ翻訳会社が悪かった
  • 翻訳の出し方が悪かった
  • 事前の準備、話し合いができてない

これに尽きるのでは?

「お金を払って翻訳会社に渡せば、いい翻訳ができてくるはず」だと思っている、翻訳というものがよくわからない人が窓口になって依頼している(=翻訳丸投げ)のであれば、そりゃ、出てくるのは適当なものになるでしょう。

翻訳会社も、相手を見て、どうせわからないだろうと甘く見ていたりした会社もあったのでしょうか?
そうでなかったとしても、特殊な内容で量がものすごいものになれば、流れ作業的な翻訳になってしまうのだろうと思います。だって、指示も出てこないし、「とにかく翻訳してください」的な出し方なんですもの、それしかできない、というのが本音なのかも。

うーん、でも、私がいた翻訳会社の取説部門は、そんなひどい仕事はしてなかったけどなぁ。
(それとも、それなりの料金をいただいていたからなのでしょうか・・)
そう思っていたのは私たちだけで、お客様にはそう思われていたのかな?

どっちもそれなりの言い分があるのでしょうから、事前の話し合いによって改善できる点がたくさんありそうなだけに、なんだかもったいないなと思ってしまいました。


そこで、ちょっと提案してみました。

翻訳の外注をするなら、その窓口に、私も加えるか、最低限翻訳に織り込んでほしい条件をまとめさせてもらえないかと。

だって、戻ってきた翻訳を私がチェックするのだとしたら、適当な翻訳が挙がってきたら、チェックの労力がものすごいことになるわけだし。

ところが、上司からの一言。

いや、どこにどう出しても、結果は同じだから。

未来堂さんは、半分の方の翻訳に集中してくれた方が助かる・・と。
そんなことやってたら、翻訳が進まなくなってしまうよ?と。

うーん。確かにそうなんだけど。
これまでと同じような結果になってしまうなら、お金をかけるの、もったいなくない?
(だったら納期伸ばしてくれたら全部私がやる!・・・と、言いたい。)

翻訳会社に対するこの期待度の低さが改善されないまでも、出し方によっては戻ってくる翻訳が改善される可能性があることを、どうしても伝えたいんだけどな。

翻訳会社にいた時に、営業の人のセールストークをよくきいておけばよかった、とさえ思いました。

まだ少し先のことなので、あの手この手で提案してみようかな、と思いつつ、派遣社員の地位があまり高くない会社なので、うるさく思われない程度にしておかなくちゃな、と思ったり(我ながら、これはイヤ)、これもまた、いろいろな意味でちょっと複雑な気分です。

コメント

  1. ao より:

    はじめまして。今回の記事、大変興味深く拝読しました。
    わたしは英日専門でフリーの翻訳者をしていますが、翻訳会社から仕事を受ける身としてクライアントさんからそこまで信用がないかと思うと悲しい気持ちになりました。

    毎回完璧とは言えないかもしれませんが、クライアントさんに満足いただける品質の翻訳をしているつもりだし、お褒めの言葉をいただくこともあります。

    未来堂さんのおっしゃる通り、御社がまだ信頼できる翻訳会社に出会えていないだけかもしれませんね。

    よいパートナー会社が見つかり、上司の方の理解も得られるといいですね!

    • 未来堂 より:

      aoさん

      はじめまして。
      aoさん(&お母様)のブログが大好きで、いつも楽しく読ませていただいています。

      そうなんですよね、翻訳会社の裏にはたくさんの翻訳者がいて、その中にはたくさんいい翻訳者もいる、そして翻訳会社のコーディネーターの中にも、いいコーディネーターさんがいるはず。翻訳会社がダメダメだと思われる=翻訳者やコーディネーターも否定された感があり、悲しくなるのだと思います。

      コーディネータ&チェッカー時代には、自分はクライアントさんとの信頼関係の中で最高の仕事をしていたつもりだったので、そういう会社に出会えなかった今の会社の上司が残念に思えてなりません。

      実際のところ上がってきた翻訳はどうだったのかというと、もしその翻訳チェックを私が頼まれたなら、「赤字を入れまくること間違いなし!」な内容で(汗)、その上司の方が品質に満足できなかったのも仕方ないかな、と思う程度のものではあります・・。

      どっち側の事情も分かるだけに、できることはあるはずなのに、うまくできないのがなんだかもどかしいです。

      aoさん、これからもブログの更新楽しみにしていますね♪
      今後もどうぞよろしくお願いします。