心に残る言葉

実るほど頭を垂れる稲穂かな

意味:稲が実を熟すほど穂が垂れ下がるように、人間も学問や徳が深まるにつれ謙虚になり、小人物ほど尊大に振る舞うものだということ。

読み人知らずですがとても有名なこの言葉は、私には特別なもので、色で例えるなら「キラキラした透明感のある黄金色のイメージ」です。

なぜ特別な言葉かというと、教育実習の指導教官だったW先生が寄せ書きに書いてくださった言葉だからです。

教育実習は人生観が変わるほどの衝撃を与えてくれた出来事で、私にとっては発見と感動、感激の連続でもありました。

これまで40年ちょっとの人生の中で、涙が出るほど感動したことが何度かあるのですが、その最初がこの教育実習でした。
学生最後の年に社会人を目指して燃えている時期だったせいなのか、教育の現場に入るのに使命感のようなものを抱いていたせいなのか、感情的にもとても高ぶっていた時期だったからなのか、とにかくあんなに短い期間であれ程の強い感情を抱いたことは初めての事でした。
今思い出すとちょっと恥ずかしくてくすぐったい気持ちになるのですが、とても懐かしくもあります。

いろいろ思うところがあって教師になる道は結局選びませんでしたが、この時受けた衝撃と感動は今でも忘れられません。指導してくださったW先生にはその後お会いする機会はありませんでしたが、私の中ではとても強烈な記憶として残っています。


さて、私が教育実習に行ったのは、今から20年前のこと。行先は母校の中学校でした。

この4月に娘がこの中学に入学したので、運がよければ在学中にその先生が中学にいらっしゃることもあるかもしれないとほんの少しだけ期待していたのですが(市内の中学の数はそれほど多くないため)、なんと驚いたことに、娘の中学の教頭先生がW先生だということが分かりました。

この20年でずいぶん姿が変わっていたので入学式の時には気づかなかったのですが、PTAの運営委員会で会計担当として出席されていました。名札に書かれたお名前を見て、すぐに気づきました。

声をかけてみようかと、ここ数回の運営員会のたびに迷っていたのですが、昨日、勇気を出して声をかけてみました。

私もだいぶ姿が変わっていますし(汗)、残念ながら名前を伝えても思い出してはいただけなかったようなのですが、それでも優しい言葉と励ましのお言葉をいただき、いろいろお話できて、とても温かい気持ちになりました。


さて、いただいた言葉に話を戻しましょう。

実るほど頭を垂れる稲穂かな

この言葉を見た時に、「もっと謙虚におなりなさい」ということかと、一瞬ドキっとしたのですが、そうではなく、「そのまま謙虚な気持ちを忘れないで持ち続けなさいね」という意味で書いてくださったようです。

詳細なエピソードは省略しますが、実習中にW先生に言われたのは、

「謙虚でいることと、自分に自信を持って堂々とふるまうこととは全く別のことだ」

ということです。

謙虚にふるまうあまり、自信なさげに見えてしまう、ということが多々あったらしく、それを見て微笑ましくも、頼りなくも思えたのでしょうね。

謙虚でいるのも大事だけど、もっとでんと構えるべき。(それが先生への信頼感にもつながる。)
先生である以上、自信を持って堂々とふるまうべきだけど、偉そうにしちゃいけない。
だから、その謙虚さはそのまま持ち続けていて、と最後に言われた記憶があります。

・・とまあ、このような記憶がこの言葉には結びついているので、なおさら特別なものに思えるのかもしれませんね。

W先生とお話して昔のことを思い出して、つい長々と書いてしまいましたが、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。